インターネット・ゲーミング賭博法制(各国ネット賭博事情) |
329. 各国ネット賭博事情・米国 ④ インターネット賭博規制消費者保護及び執行法(案) |
2013年5月25日 |
非合法インターネット賭博執行法(UIGEA)は共和党ブッシュ政権の保守的な雰囲気の中で2006年に成立した法律である。その施行細則は2010年に制定され、施行されるようになり、現在に至っている。一方、この法律は制定当初より、現在に至るまで、その実行性を疑問視する声や、具体の規則の実効性に関しても、様々な意見があり、如何に効果的に法律が執行できるか否かは法施行時点から継続的な課題となっている。 もっとも、その後共和党から民主党に政権交代となり、この法律に反対する超党派の議員たちは、法が施行される前の時点で、この法の執行を2010年12月まで延期させるとともに、新たに、オンライン賭博を規制した上で認める法案を議会に上程しようとした(成立すれば上記法律に代替され、禁止ではなく、逆に規制の対象にして、認め、税金を徴収するという考えになる。後述する如く、この法案は審議の目途はたたず、廃案となった。2010年の法案審議途上の委員会では、UIGEAに拘わらず、米国人は2009年120億㌦の資金をオフショアのネット・サイトに預託し、1000億㌦以上の賭けをしたという発現が賛成派議員よりあった。正当に課税すれば420億㌦の税収になったという。)。この法案は、「インターネット賭博規制・消費者保護及び税執行法案」(下院法案2268号 )(Internet Gambling Regulation and Tax Enforcement Act)と称し、議案の発案者は上院財政サービス委員会の委員長である民主党のバーニー・フランク議員並びに共和党ピーター・キング議員である。時代は、民主党、オバマ政権となり、ネット賭博を規制した上で認めるのか、あるいは現行法通り、禁止するのかに関しては米国議会でも議論は割れ、どっちにころぶのかは微妙な状況でもあった。尚、昔から、民主党リベラル派は、賭博行為は禁止ではなく、許諾し、規制の対象にすべしという風潮が強い。 可決されなかった法案となったが、内容が類似的な様々な法案を上程する勢いも存在し、如何なる考え方かを知ることは、米国の動向を把握するには必須の要素になる。この概要は下記になる。
興味深いのは、州によっては法の適用を禁止する場合、これを技術的に可能にするように特定州の住民からはアクセスできない技術的仕掛けを前提にすることや、未成年者、賭博依存症患者なども特定化する手法を考え、これを保護する技術的仕組みを前提にする、あるいはマネー・ロンダリングに関してもリスク・ベースでの対応措置を考慮するなどの手法により、一定のブロッキングやフィルターリングができうることを前提に法案が構成されていることにある。現代の技術ではある程度は可能なのであろうが、果たして完璧にできるのか、実行性がある考えといえるのかは若干の課題もあろう。但し、もし、認める法案が可決される場合には、かかる考え方になりうるという事例になる。 |